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岐阜新聞真学塾 看護学部㉒ 温水理佳

看護学生とプロセスレコード

岐阜聖徳学園大学看護学部助教 温水理佳

 みなさんは日々、家族や友達など色々な人と関わっていく中で、時に「どうしてあんな言葉を返してきたのだろう?」「想像していない反応が返ってきたのはどうしてだろう?」と思うことはありませんか?

 多くの看護学生は患者と関わった場面を元にして、プロセスレコードという記録方式を用いた学習を体験します。これは1950年代に米国の看護学者ヒルデガード・ペプロウが提唱した記録方式で、例えば患者と看護学生間など、自分と他者との関わりの場面を振り返り、相互作用や関係性について理解や考えを深めるために行います。

プロセスレコードには様々な書式がありますが、主には他者と関わった場面の時系列にそって「相手の言動」「自分が考えたこと・感じたこと」「自分の言動」を書き、改めて「場面を振り返った時に考えたこと」を書きます。自分自身で振り返ることも勉強になりますが、できれば記録したプロセスレコードを元に複数人で意見を出し合って話し合うことで学びがより深まります。

みなさんも経験があるかも知れませんが、例えば友達と関わっている最中に「あれ?」と思うことがあっても、その時に立ち止まって「どうしてか」を考えることは難しく、そのまま会話や行動を続けてしまい、後から「どうしてだろう?」と考えても自分では分からなくなっていることがあります。

ところが自分以外の人と共に場面を振り返ることで、気づかなかった相手の発言の意味や、相手の行動を誤解していたことなどに気づいたり、関わりの場面を通して互いにどんな作用があったのかを考えたりすることができます。

プロセスレコードは看護学生だけでなく看護師や介護士、また他の職種などにも幅広く用いられている記録方式です。みなさんも関わりの中で心に残る場面があり、もう一度考えてみたい時にはプロセスレコードを書いてみてはいかがでしょうか?(2022年1月23日岐阜新聞掲載)