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岐阜新聞真学塾 看護学部㉑ 高田恵子

「訪問看護」というお仕事をご存知ですか?

岐阜聖徳学園大学看護学部助教 高田恵子 

 疾病や障害などによって身体が不自由になった時、みなさんはどこでどの様に暮らしたいと思いますか。「できれば住み慣れた我が家で暮らしたいな」と思う方もいらっしゃると思います。でも、例えば、点滴などの医療機器を使用していたり、高齢のご夫婦二人暮らしであったりすると、「家で点滴なんてできるのだろうか。」「家族に迷惑がかかるのではないだろうか」と自宅での生活に不安を覚えると思います。そのような時、自宅での生活を支えてくれる存在が「訪問看護」をはじめとした在宅生活を支える様々なサービスです。

 訪問看護とは、看護師等が生活の場へ訪問して行う看護のことで、医療、看護、介護の知識や技術を活かして、その方々の希望に寄り添いながら、生活が成り立つように支援するサービスのことです。ここで大切なことは、身体的なことはもちろんですが、その方が安心して「生活」ができるように考えていくことです。

 例えば、食事を考えてしましょう。病院ですと、時間になれば配膳されますよね。でも、自宅の場合は、まず買い物に行き、食材を揃え、調理をしないと食事は始まりません。身体のことを考えるともに、その方が朝起きてから、夜寝るまでの生活を共に考えていく必要があります。お一人暮らしの方でしたら、きっと身体の心配は、生活できなくなることの心配にも繋がっていくことでしょう。もちろん、看護師だけでその方の生活を支えることはできませんので、医師や介護職、福祉職など様々な方と力をあわせて考えていくことが必要になります。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、病院や施設では面会が禁止されるようになりました。その様な中、人生の最終段階を迎える方やご家族の中には、「大切な家族と一緒に過ごしたい」と思い、最期を迎える場所として自宅を選ばれる方もおられます。病院では食が進まなかったけれども、自宅に帰り慣れ親しんだ味に触れたとき、「生きる気力が湧いた」と話される方もおられます。その人その人によって「自宅」の意味があり、「生きること」にも繋がっています。それを支え、大切にできることが訪問看護の魅力ではないでしょうか。

 看護師の活躍する場は病院だけでなく、地域にも広がっています。(2022年1月16日岐阜新聞掲載)