お知らせ
岐阜新聞真学塾 看護学部⑳ 高木歩実
入院している子どもは勉強しなくても良いの?
岐阜聖徳学園大学看護学部助教 高木歩実
新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令された際、どのようなことを感じたでしょうか。不要不急の外出が自粛となり、友人と会うことも憚られ、窮屈な思いをしていた人は少なくないと思います。学生の場合、学校が休校となり、学習面での不安もあったのではないでしょうか。
実は、病気やケガで長期入院している子どもたちも、緊急事態宣言下の皆さんと同じような体験をしています。まず、入院中ですので、基本的に外出はできません。また、小児病棟では新型コロナウイルスの流行前から子どもの面会制限を設けている病院が多いので、学校の友達にお見舞いに来てもらうこともできません。家族とも面会時間内でしか会えず、病室で一人で過ごす時間が長いです。そして、学校の授業を受けることができず、勉強についていけなくなるのではないかと不安を抱えています。
緊急事態宣言下では、皆が同じ状況でした。他の人も我慢しているから自分も我慢しよう、そう思えたのではないでしょうか。ですが、入院している子どもたちは、どうして自分だけ?と、とても辛い思いをしています。
入院しているからには、病気やケガを治すための治療が第一優先です。そのため、「入院中は勉強よりも治療に専念するべき」、「勉強は退院してから頑張れば良い」と考える人も多いのではないでしょうか。
しかし子どもからは、入院中でも勉強したい、勉強している間は病気や治療のことを忘れられる、といった声が聞かれます。また、入院中も勉強を続けることで、早く退院して学校へ行きたいという目標ができ、治療を乗り越えようとする力に繋がっています。病院に院内学級がある場合、入院している子どもの学習機会は保障されますが、全ての病院に設置されているわけではありません。
そこで今、コロナ禍で急速に広まったICTを活用し、学校の授業をオンラインで受けたり、録画した授業を病院で見て勉強するという取り組みが進んでいます。特にオンライン授業は、学校の先生や友達との繋がりを感じられる大切な機会となっています。コロナ過で人とのつながりの重要性を再認識した今だからこそ、このような支援を大切にしたいですね。(2022年1月9日岐阜新聞掲載)