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岐阜新聞 真学塾 看護学部⑮ 田島真智子

幸せになるためには、まず睡眠から!

岐阜聖徳学園大学看護学部専任講師 田島真智子

 漫画家の水木しげるさんの名言に「まず寝ることが幸福の基本」という言葉がある。

 まさに、適切な睡眠の効果として、幸福感の増強、子どもの成長の促進、集中力の維持による学業成績・業務能力の向上、女性ホルモンの修整や免疫力の向上、がんの発症の抑制などが報告されている。

 その仕組みに大きく関係するのが、「メラトニン」という睡眠ホルモンである。メラトニンは免疫力を向上する機能と強い抗酸化特性、つまり老化を抑制する機能を持つ。そして成長ホルモンの分泌を促進する働きもある。メラトニンの分泌を促進するためには、朝の太陽をしっかり浴びることが欠かせない。なぜなら、メラトニンの原料となる「セロトニン」の分泌を促進する方法が、十分に朝日を浴び、目から光を入れることである。朝日を浴びた15時間後、日中に分泌されたセロトニンを原料にメラトニンが作られ、入眠を促進するのである。

 適切な睡眠時間とその時間帯は、0時~6時を含めて7~8時間眠るのが理想的である。中でも重要なのは、寝始めの3時間の時間帯は天然美容液とも呼ばれる成長ホルモンが集中的に分泌され、細胞を修復し体をメンテナンスしてくれる。同時に、メラトニンの分泌もピークを迎えるため、寝始め3時間の中に0時がかかるようにするだけで、成長や美容効果が期待できる。

 目標とする時間に、心地よく入眠するためには、就寝前の生活も見直すとよい。「副交感神経」を高めるために、21時以降の激しい運動は控え、仕事や勉強のことは忘れてリラックスできる時間にする。38~40度の湯に10~20分間全身浴することも、副交感神経を高める効果を発揮し、入眠に効果的である。テレビや携帯は「交感神経」を高めるだけではなく、画面の光が睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を抑制するため、入眠前は見ないようにすることも重要である。

 世界14か国の15歳から64歳を対象に睡眠時間について調査したところ、日本は一番短かった。睡眠不足は、眠気やだるさ、疲労感、イライラなどの不定愁訴も引き起こす。また睡眠不足が続くと女性ホルモンの一種で美を司るホルモンと呼ばれる「エストロゲン」の分泌も減少する。

 幸せになるために、まずは適切な睡眠がとれる生活を始めてみませんか。(2021年11月28日岐阜新聞掲載)