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岐阜新聞 真学塾 看護学部③ 中塚晶博
認知症の患者さんと家族との関係について
岐阜聖徳学園大学看護学部教授・医師 中塚 晶博
私は認知症のかたの診断や治療に携わっています。医者の仕事といえば、患者さんの求めに応じて病気を治療するものだと思われるかも知れません。しかし認知症の場合、そうとも言い切れない部分があります。「自分はぼけていない」といって嫌がる本人を、家族が無理やり病院に連れて来ることもあるからです。ここで二つの疑問が生じます。
一つめは、本人が嫌がっているのに検査や治療を開始してしまっても良いのだろうか、という疑問です。認知症をはじめとする「脳の疾患」を放置した場合、取返しのつかない結果に至る恐れがないとは言えません。加えて、苦労の末に病院まで本人を連れてきた家族の気持ちもあります。そのため、本人には拒否するタイミングを与えないような形で検査を開始してしまうことも稀ではありません。申し訳ないという気持ちもあるのですが、初対面のときは不安と心配で途方に暮れていた家族の表情が少しずつ穏やかになってゆく様子を見ると、認知症という病気は本人だけの問題に留まらず、家族にとっての一大事なのだという思いが強くなるのです。
ここで二つめの疑問が生まれます。周囲の誰にも気付かれないまま、今も認知症が悪化しつつあるかたは世の中にどれくらいいるのだろうか、という疑問です。全ての高齢者が、自分のことを心配してくれる家族や隣人に恵まれているとは限りません。特に一人暮らしの高齢者や高齢夫婦の世帯が心配です。
これまで様々な患者さんにお会いしてきて改めて思うのは、家族という存在の有難さです。しかし、良いことばかりとは限らないという現実に気付かされることもあります。「暴言がひどいので何とかしてほしい」と家族に言われて色々な薬を試したのですが、うまく行かないことがありました。後日明らかとなったのは、家族から本人への暴言もひどく、むしろ原因は家族の側にあったのではないか、ということです。認知症のせいで家族関係に危機が訪れることは珍しくありません。どうすれば家族の危機を解決し、または未然に回避できるのか、という問題は医学とはあまり関係がないようにも見えます。しかし医療という仕事の多くは、このような問題に対する試行錯誤によって成り立っているのです。(2021年9月5日岐阜新聞掲載)
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