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岐阜新聞 真学塾㊽ 教育学部 社会専修 河智義邦
日々を生きるということ
岐阜聖徳学園大学教育学部教授 社会専修 河智義邦
2世紀から3世紀のインドで活躍した哲学者にナーガルジュナ(漢字では龍樹)という人がいました。龍樹が探求した思想を一言で表すと「空(くう)」という言葉になります。古代インド語の「シューニャ」の訳語です。これは、あらゆる存在や出来事は、すべて様々なつながりの中で生まれたり、起こったり、変化したり、無くなっていく性質をもっているというものです。裏返して言いますと、龍樹はすべてのものには永遠不滅の本体はなく、空っぽであると考えたのです。ちなみに、インドで発見された数字の「ゼロ」も、その原語は「シューニャ」といいます。興味深い符合ですが、今は紹介だけにしておきます。
さて、ご存じの方も多いと思いますが、近年の生物学では、人間の体を構成する細胞の種類は250から300で、細胞数はおよそ37兆個といわれています。多種多様な細胞が複雑に連携しながら骨や筋肉、皮膚、血液などになっています。その細胞は一部を除いて少しずつではありますが、日々入れ替わっています。皮膚は約1ヶ月、血液は約3ヶ月で入れ替わり、成長期のみなさんだと骨は2年ほどで入れ替わります。生まれたときから変わることなく「私」といういのちを生きているつもりでいますが、2年前の私になってくれていた多くの細胞はないわけです。いのちの不思議を感じます。
そして、そのいのちを生きていくための栄養を自分の力で作り出すことはできません。体外から摂取する、つまり他者からいただかないと生きていけないというのが「いのちの真実」です。哲学者の龍樹と現代科学では、いのちを考えるためのアプローチは異なりますが、伝えようとすることは時代を超えて同じように感じます。
最後に金子みすゞさんの「大漁」という詩を紹介します。「朝焼小焼だ 大漁だ 大羽鰮の 大漁だ 浜は祭りのようだけど 海のなかでは 何萬の 鰮のとむらい するだろう」。みすずさんは柔らかな表現で、人が生きていくと言うことは、多くの食料、いのちの犠牲の上に生きていくと言うことを語ってくれています。みすずさんのような「他者のいのち」に対する感性をぜひ大事にしてほしいと思います。そして、お互いに日々にいのちがあることを当たり前と思わずに、限りあるいのちを大切に生きていきましょう。
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