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岐阜新聞 真学塾⑪ 教育学部 国語専修 大石 真由香
岐阜新聞 真学塾⑪
ちょっと視点を変えてみよう
岐阜聖徳学園大学教育学部 国語専修 大石 真由香
今、『万葉集』が注目されています。
『万葉集』は、「天皇や皇族から農民まで、幅広い階層の人々が詠んだ歌が収められている」と一般に言われます。
でも、ちょっと待ってください。東歌には確かに東国方言が使われていますが、「ちょっと東国なまりがある」程度のものです。今でもテレビなどで別の地方の方言を聞いて、聞き取るのが難しいなと感じることがあると思いますが、当時の都人にとっての関東地方は、それとは比べものにならないくらいの「異世界」でした。そこの庶民が「ちょっとなまりがある」程度のことばを話していたとは考えにくいのです。
それに、五七五七七という短歌形式は都の貴族たちの文化の中で成立したものです。東歌は、地方へ下った都の役人か、都のことばを理解し都の文化を摂取することのできた地方豪族階級の人が、もともとあった歌謡を短歌形式に作り直し、書き記したものだと考えられています。
「梅花の宴」の話をしましょう。「令和」は国書を典拠とした初めての元号だと話題になりました。
「初春の令月にして、気淑く風和ぐ」。これは確かに『万葉集』巻五にある「梅花歌序」の表現で、大宰府長官であった大伴旅人が「梅花の宴」を催した、その背景について記した文章の一部です。しかし、『万葉集』は多くの漢籍(中国の書物)から学んで作られたものです。中でも万葉歌人の教養の書であった漢詩文集『文選』には、「仲春令月、時和し気清し」という、「梅花歌序」と非常に似た表現があります。「令」「和」がともに用いられた先行例です。
「令和」の典拠は『文選』だ、と言いたいのではありません。漢籍と国書とを対立的に捉えるのではなく、「梅花の宴」の行われた背景を理解してほしいと思うのです。「梅花の宴」は、梅をテーマに漢詩を作ってきた中国の文雅に倣い、それを日本の短歌でもやってみようとしたものです。漢詩の世界を和歌によって再現しようとした、《和漢融合》こそ目指したものだったのです。
このように、物事の一面を見れば確かにそうだと思えることも、別の側面から見ると、あれっ?と思うことはたくさんあります。常識とされていることの中にも間違いはたくさん隠れているのです。みなさんには、なぜそう言えるのか? の根拠を自分の力で見つけ出すリテラシーを身に付けてもらいたいと思います。
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